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半田小唄
御所の桜の種かり宿に、春を移せし花盛り
千燈万燈かがやきわたる、半田住吉舟祭
影もすみ画の龍かと見えて、宮のお池に老(ふ)りし松
ぼんと搗(つ)き出す万松山の、鐘のひびきに花が散る
源兵エ橋から川口見れば、船が水かよ川の面(おも)
積んだ酒船さす棹の歌、粋な酢船の船頭衆
誰れをまつ虫阿久比の川の、堤づたいの行戻り
いつも石橋叩いて渡る、堅い分別思案橋
そっと見返り快を囗に、なびく目元の柳ばし
丁度ころもが浦晴れ晴れと、秋の沙魚(はぜ)釣る船遊山(ゆさん)
半田名物お酒に麦酒(ビール)、団子饅頭酢に溜り
お国自慢の味噌ではないが、酒も溜りも酢も半田
酒も良い筈尾張の半田、米は名うての阿久比米
米も千石お酒も万駄(まんだ)、鶴と亀洲の繋(もや)ひ舟
酢船酒船入船出船、どこが水やら源兵衛ばし
最中落雁雁宿だんご、半田饅頭お茶の友
下戸ぢゃ下戸ぢゃとおっしゃいますけれど、一寸麦酒(ビール)を半田ァす
知多の醤油で蟹(かざみ)を下物(さかな)、したじは好きなり御意はよし
知多の木綿や半田の綿糸、これもお国の富の本
ぬしも豆粕私も無事で、こんな可愛い粉もござる
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大正から昭和初期にかけて、全国的に、歌って踊れるご当地ソング「新民謡」が自治体や企業の依頼を受けて制作されるブームがありました。
半田市内でも、北東部の亀崎地区では『亀崎小唄』、JR半田駅周辺の半田地区ではこの『半田小唄』が伝わっています。
『亀崎小唄』は最近地域の方々によって復刻され、夏祭りで耳にする機会が出てきましたが、ぜひ『半田小唄』も聴いてみたいものです。
いずれも歓楽街のあったところですから、お座敷で三味線と踊りで盛り上がれそうな歌詞で構成されています。
『半田小唄』には、半田地区の名所や名物が散りばめられていますが、
“一寸麦酒を半田ァす”(ちょっとビールを半ダース)
なんて、いかにも赤レンガで作られたカブトビールを連想させるお洒落フレーズですね。
しかしビール半ダースというと瓶6本ですか…
謙遜なのか本当なのか下戸だと言いつつも半ダース飲んでしまう、お座敷の楽しい雰囲気が伝わってくるようです。